理念を削りました

来たる10月1日、29期の始まりとともに、会社の理念を変えます。


これまでの理念は、こうでした。

「全従業員の豊かさを追求すると共に、店舗開発部の快適を創造する」

これを、来期からはこの一語にします。

「快適の創造」

今日は、なぜ削ったのかを書かせてください。

足し算で、生きてきた

思えば私は、ずっと足し算で生きてきました。

あれも大事、これも大事。
従業員のことも書きたい。お客様のことも書きたい。
その想いを一つひとつ言葉にして、理念に足していきました。

「全従業員の豊かさ」も、心からの本音です。
「店舗開発部の快適」も、お客様への誓いでした。

一つも、嘘はありません。
どれも大切で、だからこそ、言葉は長くなっていきました。

長い理念は、心に残らない

ところが、あるとき気づいたのです。

長い理念は、誰の心にも残らない、と。

立派な言葉を並べても、諳んじられなければ意味がありません。
額に入れて壁に飾って、それで終わってしまう。
社員に「うちの理念は?」と聞いて、すらすら出てこないなら、それは飾りです。

本当に大事なものは、短くなければならない。
短くて、鋭くて、誰もが一息で言えるものでなければ、日々の判断の物差しにはならないのです。

そう考えたとき、私は削る決心をしました。

残ったのは、一語だった

削って、削って、最後に残ったもの。
それが「快適の創造」でした。

考えてみれば、すべてはここに収まります。

全従業員の豊かさとは何か。
社員が、快適に働けること。

お客様への誓いとは何か。
お店の、街の、快適を創ること。

看板を点検するのも、店舗の寿命を延ばすのも、不安を安心に変えるのも。
ぜんぶ、快適の創造です。

対象を名指しするのをやめました。
従業員も、お客様も、その先の人も。
すべてに通じる一語だけを、残したのです。

削る勇気

足すのは、簡単です。
想いがあれば、いくらでも言葉は増えていきます。

難しいのは、削ることです。
どれも大事だからこそ、捨てられない。
捨てるには、何がいちばん大事なのかを、腹の底から決めなければなりません。

削るとは、優先順位をつけること。
削るとは、覚悟を決めること。

それは経営そのものだと、私は思います。

10月1日。29期の幕開けとともに、「快適の創造」という一語を掲げて、私たちは新しい一年を歩き出します。

短くなった理念を、社員全員が、いつでも言えるように。
そして、迷ったときの物差しに、できるように。

さて、あなたの会社の理念は、一息で言えるでしょうか。


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髙倉 博

株式会社店舗ドック代表取締役

1970年、東京都世田谷区生まれ。
大学進学に失敗し簿記の専門学校へ進んだ経験が、「大卒者には負けない」という原動力となる。

卒業後、父親の会社で「自分が脇役の人生になってしまう」と焦りを感じて起業。
創業7年目の34歳で看板用LED事業で成功を掴むが、取引先の倒産などが重なり、36歳で1億円の借金を抱える。

最愛の母の死をきっかけに人生を見つめ直し、コンサルタント長山宏氏との出会いを経て再起。
「不安や不便を見つけ、クリエイティブに解決する」(快適の創造)というミッションを見出し、大手企業向けの看板業務代行に注力して評判を得る。

しかし42歳の時、社内クーデターを機に自暴自棄となり酩酊し、社員旅行の宿泊先の窓から飛び降りるも、標識に衝突し奇跡的に命拾いする。
自分を見つめ直し「看板で悲しむ人をゼロにする」という使命を確信し、「看板ドック」事業に邁進。

多くの顧客に支持され、2025年10月1日には、27年間続いた社名を「株式会社店舗ドック」に変更し、業界の更なる変革を目指している。


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