一度辞めた人が、戻ってくる
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昔の私は、社員を怒鳴っていました。
なぜ言われたことができないのか。
なぜ同じ間違いを繰り返すのか。
なぜ、分からないのか。
本気で、怒っていました。
そしてその怒りは、相手のためだと思っていました。
私が厳しく言うことで、この人は成長する。
甘やかしていては、本人のためにならない。
そう信じていたのです。
新卒が、辞めていきました
結果はどうだったか。
新卒で入ってくれた社員が、次々と辞めていきました。
期待して採用した若い人たちです。
これから育てようと思っていた人たちです。
その人たちが、いなくなっていきました。
当時の私は、こう考えていました。
根性がない。
今の若い者は打たれ弱い。
うちに合わなかっただけだ。
自分に原因があるとは、思っていませんでした。
情けない話です。
けれど、本当にそう思っていたのです。
変えようとしていた相手
いま振り返ると、何をしていたのかがよく分かります。
私は、人を変えようとしていました。
怒鳴れば変わると思っていた。
厳しく言えば伝わると思っていた。
私の熱が、相手を動かすと信じていた。
けれど、人は怒鳴られて変わりません。
変わるのは、その場の態度だけです。
心の中では、扉が閉まっていきます。
そして、閉まりきったときに、辞表が出てくるのです。
私は、育てているつもりで、追い出していました。
変えられるのは、自分だけ
ずいぶん時間がかかりましたが、いまはこう思っています。
変えられるのは、自分の考え方と行動だけです。
他人は変えられません。
過去も変えられません。
起きてしまったことも変えられません。
変えられるのは、自分がどう考え、どう動くかだけ。
こう書くと、諦めの言葉に聞こえるかもしれません。
でも、逆です。
他人を変えようとしている間は、うまくいかない原因が常に外側にあります。
相手が悪い。環境が悪い。時代が悪い。
だから、いつまでも同じところで止まったままです。
自分を変えると決めた瞬間から、話が動き出します。
自分が変わると、なぜか周りも変わる
不思議なことがあります。
自分を変えると、周りが変わって見えるのです。
怒鳴るのをやめて、まず聞くようにしました。
なぜできなかったのかを、責めずに尋ねるようにしました。
すると、いろいろなことが見えてきました。
伝えたつもりで、伝わっていなかった。
本人なりに考えた末の行動だった。
そもそも私の指示が曖昧だった。
つまり、直すべきところは、たくさん私の側にあったのです。
相手を変えようとしていたときには、一つも見えなかったものです。
辞めていった人たちへ
いまさら言っても仕方のないことですが。
あのころ辞めていった若い人たちには、申し訳ないことをしたと思っています。
彼らに根性がなかったのではありません。
私に、人を預かる力がなかったのです。
その反省だけは、忘れないようにしています。
そして、戻ってきてくれました
ところが最近、嬉しいことが起きています。
あのころ辞めていった人たちが、戻ってきてくれているのです。
一度うちを離れ、よその世界を見て、それでもまた戻ってきてくれる。
社会ではアルムナイ採用と呼ぶそうですが、私にとっては、そんな言葉より重い出来事です。
正直、驚きました。
そして、少し救われた気持ちになりました。
あのころのままの会社だったら、こんなことは絶対に起きなかったはずです。
怒鳴り散らす社長のところへ、誰が戻ってくるでしょうか。
戻ってきてくれたということは、会社が変わったということです。
そして会社が変わったのは、私が変わったからだと思いたい。
人は変えられません。
けれど、自分が変われば、離れた人がもう一度こちらを向いてくれることがある。
それを教えてもらいました。
さて、あなたが今いちばん変えたいと思っている人は、誰でしょうか。
その人を変えようとしている限り、たぶん何も変わりません。
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株式会社店舗ドック代表取締役
1970年、東京都世田谷区生まれ。
大学進学に失敗し簿記の専門学校へ進んだ経験が、「大卒者には負けない」という原動力となる。
卒業後、父親の会社で「自分が脇役の人生になってしまう」と焦りを感じて起業。
創業7年目の34歳で看板用LED事業で成功を掴むが、取引先の倒産などが重なり、36歳で1億円の借金を抱える。
最愛の母の死をきっかけに人生を見つめ直し、コンサルタント長山宏氏との出会いを経て再起。
「不安や不便を見つけ、クリエイティブに解決する」(快適の創造)というミッションを見出し、大手企業向けの看板業務代行に注力して評判を得る。
しかし42歳の時、社内クーデターを機に自暴自棄となり酩酊し、社員旅行の宿泊先の窓から飛び降りるも、標識に衝突し奇跡的に命拾いする。
自分を見つめ直し「看板で悲しむ人をゼロにする」という使命を確信し、「看板ドック」事業に邁進。
多くの顧客に支持され、2025年10月1日には、27年間続いた社名を「株式会社店舗ドック」に変更し、業界の更なる変革を目指している。
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