居場所ができると、人は伸びる

銀座男声合唱団では、いま中編成のアンサンブルに取り組んでいます。

団員は五十名を超えました。
全員で歌う迫力は、それはそれで男声合唱の醍醐味です。

けれど今回は、十人前後の小さな編成をいくつも組んでみました。
そこで思わぬ発見があったのです。

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**十人になると、顔が見える**

まず驚いたのは、人間関係が一気に良くなったことでした。

五十人で歌っていると、どうしても埋もれる人が出てきます。
声も、存在も、全体の中に溶けてしまう。
本人は真面目に通っていても、誰とも深く話さないまま何ヶ月も過ぎてしまう。

これは、どの組織にもあることではないでしょうか。

ところが十人前後になると、まったく違います。

誰がどこで苦戦しているかが、お互いにわかる。
「そこ、僕も難しいんですよ」という会話が生まれる。
自然と教え合い、笑い合うようになる。

顔が見える人数、というものがあるのだと実感しました。

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**新人だけで、組んでみた**

今回、特に良かったのが新人だけのアンサンブルです。

普通に考えれば、経験者を混ぜたほうが安心です。
新人だけでは不安でしょうから、ベテランが引っ張るほうが早い。
そう思うのが自然だと思います。

でも、あえて新人だけで組んでみました。

結果は、想像以上でした。

まず、同期という感覚が生まれました。
同じ時期に入って、同じ課題に、同じようにつまずいている仲間がいる。
それだけで、心持ちがまるで違ってきます。

そして、居場所ができました。

五十人の中の一人ではなく、この十人の中の一人。
自分が抜けたら、この編成が成り立たない。
そういう手応えが、人を前に進ませるのです。

しかも、完成度まで高かったのです。
これには本当に驚きました。

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**なぜ、伸びたのか**

考えてみると、理由は単純なことかもしれません。

ベテランに囲まれていると、どうしても遠慮が出ます。
わからないことを聞きづらい。
間違えることが怖い。
「迷惑をかけてはいけない」と縮こまってしまう。

新人だけなら、そこがありません。

わからないのは、みんな同じ。
間違えるのも、みんな同じ。
だから遠慮なく声が出せる。
だから、伸びるのです。

守られる立場から、自分たちで担う立場へ。
その変化が、人を成長させるのだと思います。

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**会社も、同じではないか**

これは、会社の組織づくりにそのまま通じる話だと感じています。

新しく入った人を、いきなり大きな組織に放り込む。
先輩がついてはいるけれど、遠慮ばかりで本音が出ない。
気づけば、静かに辞めていく。

そういうことが、世の中には多いのではないでしょうか。

必要なのは、居場所です。

顔が見える人数の中で、自分の役割がはっきりしていること。
同じ時期に入った仲間がいて、弱音を言い合えること。
そして、任されていること。

この三つが揃ったとき、人は驚くほど伸びていきます。

私は五十人の合唱団を預かる団長ですが、五十人を一度に育てることはできません。
できるのは、十人の場をいくつもつくることです。

会社も、きっと同じなのでしょう。

さて、あなたの組織には、居場所がありますか。


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髙倉 博

株式会社店舗ドック代表取締役

1970年、東京都世田谷区生まれ。
大学進学に失敗し簿記の専門学校へ進んだ経験が、「大卒者には負けない」という原動力となる。

卒業後、父親の会社で「自分が脇役の人生になってしまう」と焦りを感じて起業。
創業7年目の34歳で看板用LED事業で成功を掴むが、取引先の倒産などが重なり、36歳で1億円の借金を抱える。

最愛の母の死をきっかけに人生を見つめ直し、コンサルタント長山宏氏との出会いを経て再起。
「不安や不便を見つけ、クリエイティブに解決する」(快適の創造)というミッションを見出し、大手企業向けの看板業務代行に注力して評判を得る。

しかし42歳の時、社内クーデターを機に自暴自棄となり酩酊し、社員旅行の宿泊先の窓から飛び降りるも、標識に衝突し奇跡的に命拾いする。
自分を見つめ直し「看板で悲しむ人をゼロにする」という使命を確信し、「看板ドック」事業に邁進。

多くの顧客に支持され、2025年10月1日には、27年間続いた社名を「株式会社店舗ドック」に変更し、業界の更なる変革を目指している。


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